福島県伊達市 "ほどよい田舎"に来てみませんか?

絹文化の魅力・その2

元地域おこし支援員 浜田です。

前回のコラムでは、伊達の地で築き上げた養蚕・絹の産業・文化資源は全国的にも誇れる稀有なものであり、今日の伊達の発展の礎となっていた事をお伝えしました。

今回は先日この伊達の養蚕・絹文化の素晴らしさを実際に体感して頂くツアーを企画・開催しましたので、この様子をお伝えしようと思います。

1.ツアー概要

ツアー名 伊達の魅力発見講座第3回「伊達の絹文化を訪ねて」

・開催日時:2022年1月15日(土)10:00~16:00

・主催:NPO法人りょうぜん里山がっこう  ・参加人数:16名

 

<ツアー企画の背景>

これまで、伊達地域に点在する養蚕・絹に関するスポットには単体で訪れる事はありましたが、これらのスポット(点)を繋げ、線として体系的に伊達の養蚕・絹文化を知る・体験するツアーは存在しませんでした。実は、これらのスポット繋げてみると北は梁川の蚕種から生糸の掛田を経て南は羽二重の川俣まで国道349号線沿いに綺麗に並ぶ事が判りました。勝手ながら私はこの349号線を通称「伊達シルクロード」と名付け、伊達の絹産業を支えた象徴的な道としてPRしていこうと思っています。今回はこの伊達シルクロード沿いに北から南へ巡るバスツアーです。以下、ツアーの見どころとなった3つのスポットをご紹介します。

 

  • 泉原養蚕用具展示室

今回のツアーの開始となった、霊山町泉原地区にある泉原養蚕用具展示室。近隣で収集した貴重な養蚕関係の用具を何年もかけ収集・整理し、旧泉原小学校の教室に整然と展示しています。収集点数は約5000点。これだけ養蚕関連用具を集めた施設は全国でも珍しく当収集物は平成31年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。当館では代表の丹治純子さんより、当地における養蚕・絹産業の歴史と特徴をご説明頂き、その後施設内の養蚕関連用具群を見学しました。見学者の中には元養蚕農家だった方もおられ展示用具に大変懐かしがっておられました。

養蚕用具展示室内の見学

丹治純子さんによる伊達の養蚕の講義

・掛田まちめぐり

養蚕展示室見学の後は、かつて「掛田折り返し糸」として名をはせた霊山町の中心地である掛田の町をバス散策しました。かつて掛田は生糸の生産・流通の拠点としておおいに繁栄した時期もあったと聞いています。今でこそ掛田の町はシャッター街の寂しい町となってしまいましたが、往時の名残の跡を確認する事ができました。説明者は地元掛田で「りょうぜん天蚕の会」を主宰する八島利幸さん。掛田の町の歴史と養蚕・絹に関する八島先生のとめどなく湧いてくる知識と名調子は名人芸の域です。

掛田の歴史の語り部 八島利幸さん

掛田のシンボル 旧阿部製糸の倉庫跡

3.川俣機織り工場見学

りょうぜん道の駅で昼食後、バスは南下し機織りの町川俣町へ到着しました。道の駅川俣に隣接する「川俣おりもの展示館」を見学した後は、今回のツアーの楽しみのひとつであった現役の機織り工場である「齋栄織物」様を訪問し工場見学をさせて頂きました。先述のように川俣は「羽二重」という薄い絹織物の生産が盛んな地域で、町のあちらこちらの機屋から“カタンカタン”と軽快な音が響いていたようです。ただこちらも時代に波には逆らえず、かつて240軒を数えた機屋は今では1けたまで減ってしまいました。ただ、その羽二重生産で培った先人の技術は現在新しい世代にしっかり受け継がれ、更なる研鑽を続けています。ここ齋栄織物様は“世界でもっとも薄い絹織物(フェザーシルク)を作る工場として英国王室御用達の素晴らしい織物を世に送りだしています。今回はそちらの貴重な工場の見学をさせてもらいました。

齋栄織物様工場内見学

世界一薄い絹織物(斎栄織物様HPより)

いかがでしたでしょうか?伊達の養蚕・絹産業の文化を線でつなぐというこれまでにない画期的なツアーでしたが、参加された皆様にはさまざまな発見があったようです。

歴史を知るという事は単に昔日のノスタルジーに浸るだけではありません。伊達の先人たちが築き上げた有形無形の財産は、間違いなく今を生きる我々にもDNAとして引き継がれています。シルク文化のDNAを未来の町づくりにどう生かせばよいか?引き続き皆さんと考えたいと思います。

 以上、2回に分けてお送りしました伊達の絹文化を訪ねてのコラムはこれで終了です。ありがとうございました。

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