福島県伊達市 "ほどよい田舎"に来てみませんか?

伊達の魂のビート「霊山太鼓」の魅力(その1)

元伊達市地域おこし支援員の浜田です。

「伊達の魅力つれづれ紀行」の記念すべき第1弾は、浜田が伊達の地で最も敬愛するもののひとつである伝統芸能「霊山(りょうぜん)太鼓(たいこ)」を2回にわたり取り上げていきたいと思います。

 伊達市を含む信達地方は昔より太鼓が盛んな地域であり各地区のいたるところで地元の神社に奉納する太鼓の神事が華やかに行われています。歴史をたどると江戸時代の寛文年間(1670年前後)に都へ生糸(登せ糸)を運んだ行商達が持ち帰ったとものだと言われており、それが信達各地域で独自の発展を遂げ継承されてきました。

私が所属した霊山町はその中でも最も太鼓が盛んな地域であり、一説には霊山町の人口約7000人のうち7001000人の太鼓叩きがいるとも言われており。まさに全国屈指の“太鼓の町”といえます。私もこの太鼓の魅力に魅せられ、赴任早々さっそく地元の太鼓保存会に入る事となり、新米ながら各種イベントで太鼓を叩かせてもらっています。

赴任1か月後の祭りで早速参加

霊山太鼓の概要・特徴について、霊山太鼓保存会の方より情報提供を頂き、それをもとに私なりの解釈を交え整理してみました。

今回取材協力頂いた橘内清隆様

(霊山太鼓保存会副会長)

1.霊山太鼓の団体

今でこそその数は減ってしまいましたが、霊山の各地区にはかつて約60組もの太鼓保存会が分散していたと聞いています。ただ都を発祥とされる太鼓の叩き方は各地区に伝播していく過程で、徐々に違いがみられるようになり、それぞれ独自の発展をとげてきました。地元の祭礼では各地区の太鼓叩き達は山車に乗って練り歩きながら、お互いを競うかのように自分たちの太鼓を披露していたようです。

2.構成

しの笛の音を旋律に、基本の構成は大太鼓1に対し小太鼓2を1組(ユニット)とした構成で、演奏の規模に応じこのユニットが増えていきます。一般に各地区の保存会が演奏する時は1~2組の構成が多いようです。

浜田が所属する大石北組太鼓保存会の皆様

3.演奏曲目

①陣太鼓:

太鼓はかつて戦の時の使われており、出陣する時の兵の気持ちを奮い立たせる意味と、攻撃

の合図のために使った打ち方。ドンドンと鳴らす大太鼓の重い音が響きます。

②始めの太鼓:

祭礼での神輿がお出かけする際、その出発の時に演奏したものです。

③通り囃子:

神輿を先頭に街の中をゆっくりと練り歩くときに演奏されます。ゆっくり歩くために、曲自体も静かで優雅さをかもし出しています。

④打ち囃子:

神輿がお休みになり、そこで神主様が無病息災・家内安全の祝詞が終了すると、打ち手たちが威勢よく太鼓や笛を打ち鳴らします。霊山太鼓でも勇壮で有名な打囃子です。

この打ち囃子がはじまると霊山太鼓は最高の盛り上げを魅せます。

⑤中切り・早切りの太鼓:

打ち囃子の前に演奏し、打ち囃子の変化をつけて演奏します。

⑥納めの太鼓・宮入りの太鼓:

神輿も終わりに近づき神社へ戻るときに演奏される納めの太鼓です。

⑦甚句:

盆踊りの時に叩く太鼓で唄う曲は「霊山盆唄」です。

⑧余興の太鼓:

「うさぎうさぎ」、「おかざき」、「江戸」などが伝承されています。

3.リズムの特徴

打ち囃子で叩く霊山太鼓は、“タッカタッカタッカタッカ”という跳ねるようなリズムが基本、洋楽でいうところのシャッフルビートですね。日本では阿波踊りのリズムが有名だと思います。

このリズムをベースに霊山太鼓を最も特徴づけるのが裏拍を強調したアクセントです。

 ◎一般によく聞く太鼓リズム(太字:強いアクセント)

ッカッカッカッカ ッカッカッカッカ ・・・”(全て表拍を強調)

◎霊山太鼓のリズム(盛り上がったときのリズム)

ッカタッタッカタッカ ッカタッタッカタッカ ・・・”

(1拍目表拍と2拍目の裏拍を強調。“ったりんたんこたんこ”と覚えます。)

この2拍目裏拍アクセントがなんともかっこいい胸キュンポイント!

表拍中心の日本に多々ある太鼓の中で、霊山太鼓だけがなぜこのようなは特徴的なリズムになったのかはよくわかりませんが、このアクセントによって黒人ビートを彷彿とさせるような

独特なグルーブ感を醸しだします。霊山の人達の音楽センスの高さが伺い知れます。

4.小太鼓と大太鼓の役割

一般の太鼓では、大太鼓が基本リズムを刻みながら小太鼓がリズムのバリエーションを担うケースが一般的ですが、霊山太鼓ではリズムを刻むのは小太鼓で、大太鼓はそれにのっかりながら自分なりのアドリブ(「作(さく)」といいます)を混ぜるケースが多いです。

そのため音もさることながら、霊山太鼓の特徴である桐の短く太いバチをもって大太鼓を自由に叩く様は叩き手の魅せ場でもあり、まるで背中で舞を舞っているかのような華麗さがあります。

5.見せる太鼓

前述の大太鼓の姿もそうですが、小太鼓の叩き手たちも跳ねるリズムと連動し、左右に体をスイングさせる姿はカッコいいです。また、盆踊りのリズムの時のバチを挙げた時にバチをクルクル回す姿も、あまり他地域では見られない特徴的なところです。

(浜田はこのバチ回しが苦手で、今でも悪戦苦闘しています)

 もともと霊山の人達の気質として、いい意味で“エエカッコしいのお洒落さん”が多かったのではないでしょうか?音もさることながら自分たちの霊山太鼓を”どうやったらカッコよく叩けるか?といった発想を突き詰めた結果、今の叩き方のスタイルが確立されたのではないかと思います。特にこの華麗に叩くスタイルの流れは、霊山町の南部(小国地区)の方の嗜好だったようです。聞かせるだけではない、まさに魅せる鯔(いな)背(せ)な太鼓集団ここにありですね。

 *論より証拠、霊山太鼓の動画(遠征組の演奏)を共有します。ダイナミックなの打ち囃子のリズムの躍動と叩き手たちの魅せるパフォーマンスを感じとってください。

https://www.youtube.com/watch?v=4VNTgkjjsYw (2012年 東京マラソンイベントにて)

霊山太鼓の第1回目(前半)はここで終了です。後半は伊達市が誇る一大イベント霊山太鼓まつりの歴史と、それに伴いここ数十年の霊山太鼓の新たな動きについてお話したいと思います。

この記事を書いた人

浜田 和彦
山口県出身。
30年以上勤務した東京のIT企業を退職後、2018年7月に伊達市の地域おこし支援員として赴任。
主に担当地区(霊山町大石地区)の魅力発掘や、山案内人として名峰霊山のプロモーション活動を実施。
地域おこし支援員は2021年6月末で3年間の任期を終了。7月より「かもしか創生舎」として独立し、伊達地域を中心とした新たな地域おこし活動を推進中。
趣味:楽器演奏(バンド活動)、街道歩き
よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

目次
閉じる